TOEIC® L&R TEST リスニングセクション Part別攻略法!
TOEIC® L&R TESTリスニングセクション全体の注意点・勉強法は?
リスニングセクションは約45分でPart1〜4まで行われます。放送を聞きながら問題を進めていく形式のため、聞きなおしをすることができません。また、各問題の放送は1回のみであり、問題用紙にメモを書くことは禁止されているため、集中力や瞬時に解答する力も求められています。
解答する際は、音声を聞きながらマークシート上で正解と思うものの上に鉛筆を留めておく→最後まで聞いたうえで、鉛筆を留めている番号を塗りつぶしていく方法がおすすめです。前の選択肢の内容を忘れてしまったり、迷いを防止するのに効果的です。
TOEIC® L&R TESTのリスニング音声は、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの発音があります。ナレーターの国籍次第で発音に癖があり、聞き取りやすい・聞き取りづらいと感じることもあるため、苦手な国の発音は特に事前に慣れておくとよいでしょう。
リスニングセクション全般的な対策方法としては、「音声のまねをして声に出す(リピーティング)」ことが基本となります。発音できる英語=聞き取れる英語だからです。
まずは、聞き取った英文のまねをすることから始め、スムーズにできるようになってきたら「音声のあとについて喋る(シャドーイング)」ところまでやっておくとリスニング力UPにつながります。
シャドーイングのステップは二段階あるため、①ができるようになったら②と進めていくようにしましょう。
- ①音にフォーカスして、聞き取った音のあとについて喋る
- ②音だけでなく、内容を理解しながら喋る
TOEIC® L&R TESTリスニングセクションPart1の概要・対策法は?
Part1は写真描写問題で、全6問です。写真を見ながら、放送される選択肢から正しい描写を選ぶ問題です。
【参照】
https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample01.html
写真はどこか1箇所を注視するとそれにとらわれてしまうことがあるため、全体を見ておきましょう。「これは店先の場面なんだ」「オフィスのシーンか」など、どこの場面であるかを把握するくらいに留めておくとよいでしょう。
また、Part1の中で出題される単語は難易度が高い場合があります。わからない単語のことを考えても仕方がないので、次の問題へ、と気持ちを切り替えることが大事です。
Part1は分量が多くないため、全文ディクテーションをして1語1語しっかり聞き取れるようになっておく対策が効果的です。わからない単語や文法を曖昧にせず、理解しきるまで解説を読み、ディクテーションをやって特に聞き取りにくい英文はリピーティングやシャドーイングまで行いましょう。
TOEIC® L&R TESTリスニングセクションPart2の概要・対策法は?
Part2は応答問題で、全25問です。質問やコメントなどの短い発言に対して、正しい応答を選択肢から選ぶ問題です。
【参照】
https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample02.html
Part2でまず始めにおさえておきたいのはWH疑問文です。最も出題数が多いため、「最初の疑問詞をしっかり聞き取る」という練習が非常に効果的です。何を聞かれているのかがわかれば、正解が選びやすくなります。
また分類の仕方は諸説ありますが、「応答のパターンが3つある」ということを知っておけば、答えやすく・対策しやすくなるでしょう。
直接的な応答
- 質問に対してシンプルな答えとなるもの。
- 文頭の疑問詞(5W1H)に注意して聞き取れば、解答を導くことができます。TOEIC® L&R TEST初級者の方はまずここから勉強し、完璧に答えられるようにしましょう。
間接的な応答
- 質問に対して直球の答えではないが、
「〜〜を見ればわかるよ」と答えに関する内容を間接的に情報提供をするもの。 - こちらは中級者向けの問題です。やりとりが行われている場面を想像し、頻出の表現を身につけておくと正解がしやすくなるでしょう。場面をイメージしながら音読・シャドーイングをして対策をしておく必要があります。
変化球的応答
- 質問に対して答えを述べてはいないが、コミュニケーションは成立しているもの例:「一番近い図書館はどこですか?」と聞かれて、「私はここに先週引っ越してきたばかりです(だから知りません)」と答える。
- このような問題は上級者向けの内容となり、聞き取りができたうえで、コミュニケーションが成立する適切な答えを選ぶ必要があります。
対策の第一歩として、上記の3つのパターンを頭に入れておきましょう。Part2も短文で構成されているため、全文ディクテーションをして聞き取れないものや意味がわからないものがなくなるまでやり込んでおきましょう。
TOEIC® L&R TESTリスニングセクションPart3の概要・対策法は?
Part3は会話問題で、全39問です。複数人(2人または3人)の会話を聞き、3つの設問に適した解答をそれぞれ選ぶ問題です。会話は40秒程度のものが13セット出題(1会話につき3問出題)されます。
【参照】
https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample03.html
はじめのDirectionsが流れている間に最初の設問に目を通しておき(=先読み)、何を聞かれるのかをおさえておくと会話が頭に入りやすくなります。
選択肢の先読みについては読む分量が多いことに加え、逆に引っ張られて誤答を選んでしまう可能性があるため、初級者は設問だけ読んでおくと良いでしょう。
最初の問題以降は先読みのタイミングも重要です。少なくとも本文終了〜設問が放送で読み上げられている間に問題を解き終え、次の問題へ進むリズムを作っておく必要があります。できる限り、設問が読み上げられている時間は次の問題の先読みに使えるとよいでしょう。その際に生まれる時間の目安は次の通りです。
- ・3つめの設問が読まれたあとから次の会話が始まるまで:8秒程度の間(図表問題の場合は12〜13秒程度の間)が生まれますが、非常に短く初級中級者にとっては先読み時間が足りないでしょう。
- ・2つめの設問が読まれたあとから次の会話が始まるまで:20〜25秒程度の間ができ、時間に余裕が生まれます。できれば、このタイミングで次の問題の先読みに入るために3つの問題全てを解き終えられるよう練習しておきたいところです。
とはいえ、ご自身にとっての解き終わり・先読みのちょうど良いタイミングは様々です。事前に演習を重ねて自分に合ったリズムを見つけておきましょう。
Part3は先読みがPOINT
TOEIC® L&R TESTリスニングセクションPart4の概要・対策法は?
Part4は説明文問題で、全30問です。様々な種類のナレーションを聞き、3つの設問に適した解答をそれぞれ選ぶ問題です。ナレーションは40秒程度のもの×10セット出題(1セットにつき3問出題)されます。
【参照】
https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample04.html
Part4のナレーションには、例えば、「会議の冒頭、お店の電話メッセージ、広告、スピーチ、ニュース、ツアーの案内、空港のアナウンス」などがあります。一人の人が話しているため、Part3よりも話の展開をつかみやすいかもしれません。
ナレーションのよくある構成としては、まず冒頭でその放送の目的や概要、話者がどんな人なのかが説明されます。そのため、最初の1語目から逃さずに聞き取ることが大切です。その後、より詳しい話が続いていきます。
Part3と同様に、先読み→問題を解く→先読みの流れで進めていく必要があるため、Part4についてもリズムを作っておくことが重要です。
Part3・4は文章量が多いため、全文ディクテーションをするのは対策にかけられる時間の都合上難しいでしょう。そのため、冒頭に記した全体の勉強法の通り、「声に出す(リピーティング)」「音声のあとについて喋る(シャドーイング)」という方法で対策を進めましょう。
問題を解いたあとは、わからない単語・文法がない状態になるまで復習しておくことが大事です。1文1文丁寧に振り返り、どこが聞き取れなかったのか、どこで迷いが生じたのか、その原因は何だったのかを自分の中で整理し、わからない点が全くない状態にしておきましょう。
リスニングがなかなか伸びない!原因と対策法は?
リスニングのPart別形式を理解したうえで何度か演習に取り組んだとしても、なかなかリスニング力が伸びない、ということもあるかもしれません。そのような時は、以下の内容ができているか振り返ってみましょう。
基礎的な単語・文法の知識は身についているか
リスニングは瞬時に意味を理解する必要があります。単語や文法が定着していないと、意味を考えてしまい処理速度が落ちる・その後の英文が聞き取れないという事態に陥ってしまいます。遠回りに思えるかもしれませんが、基礎力となる単語・文法はしっかりと身につけておきましょう。
英文のスピードについていけているか
試験に向けてリスニングの処理速度を上げておく必要があります。聞いた文をそのまま理解できるよう、ナチュラルスピードで
シャドーイングの練習をしておきましょう。
問題を解くリズムを作っているか
Part3・4でも説明した通り、特に後半は先読み〜放送を聞く〜問題を解くリズムを作っておくことが重要です。「演習の時はできていたけれど本番ではできなかった!」ということがないよう、模試形式の問題集でリスニングセクション100問を本番通りに通しで解く練習を複数回こなしておきましょう。
まとめ
TOEIC® L&R TESTリスニングセクションの対策に共通して言えることは「声に出す」ことが大事、という点です。音声を聞いて問題を解く(答え合わせをする)だけでなく、時間の許す限り設問・選択肢のリピーティング・シャドーイングを行い、問題に対する理解を深めておくと必ず実を結びます。時間がない時はPart1・2の音読だけでも行っておきましょう。
監修
山田 治 先生
スタディサプリENGLISH基礎講座(英文法・英単語)講師/コーチトレーナー。1976年、茨城県生まれ。麗澤大学大学院卒業。TOEIC® L&Rテスト990点(満点)、英検®1級。高校時代までは英語が大の苦手だったが、日本国内で英語劇を創作することで英語力を伸ばした。中高一貫校での英語科教諭や語学学校講師を経て、現在は大学や専門学校で講師も務める。役者のトレーニング方法、第二言語習得研究の知見、CTT+(国際トレーナー資格)の教授法を駆使して、英語4技能を伸ばす指導を実践。英語学習コーチ向けに、学習者の目標達成を支援するための研修も行なっている。2児の父でキャンプが好き。(※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。)
- 学習参考書:
- TOEIC®テストで「高得点を取れる人」と「取れない人」の習慣 (共著・明日香出版社)
- TOEIC® L&Rテスト Part 5 語彙問題だけ555 (共著・アルク)