
英語には音が弱音化したり単語や文構造を越えて音が繋がったりする、日本語にはない変化があります。長い歴史の中でそれはリエゾン(フランス語語源)やリンキングといった言葉で表されていましたが、音声変化には様々なタイプがあるため、本記事ではより包括的な上位表現であるconnected speech(連結音声)という表現を使っています。発話をブラッシュアップしたい方は必読です。
1. 英語の音声変化=Connected speechとは?
1.1 Connected speechの基本概念
代表的な個別の音声変化は3のセクションに詳しく記載していますので参考になさってください。Connected speechとは、発話において文や句の中で単語が隣り合わせになった時に起こるあらゆる音声上の変化の総称になります。ネイティブスピーカーが大して難しくない話をしているのに聞き取れないときは、connected speechの影響による場合が多いです。後から文字で知って「な~んだ」と思うことはよくありますよね。
1.2 Connected speechをネイティブスピーカーが使う理由
なぜconnected speechを使うのか。それはずばり、発音が楽だからです。音を繋げることで息を吐きながらスムーズに単語同士を繋げることができれば、少ない労力で発話のスピードを上げることができます。英語は日本語よりも音楽的である、と言われる所以かもしれません。日本人がconnected speechを使わない(使えないとも言えますが)で速く発話しようとすると、ネイティブにはカクカクとぎこちないマシンガントークのように聞こえるようです。私たちもconnected speechを上手く利用して楽に、スムーズに、そしてより美しい英語が話せるようになりたいものですね。
2. 英語のリエゾンを理解することで身につく力
2.1 ネイティブの発音が聞き取れる
皆さんも想像できると思いますが、自分の出せる音に近いものは聞き取ることも容易になります。Connected speechのルールを学び、実践することで自分の発音が上達するのはもちろん、相手の発音も良く聞き取れるようになります。
2.2 ネイティブに近い発音で話せる
Connected speechのルールを学ぶことで英語の音の構成や特徴に対する意識が高まるので、自分の発話に対するセルフフィードバックの精度も上がり、周りで英語を話している人たちの発音にも敏感に反応できるようになります。正しいルールを知ることが応用力にも繋がっていきます。
2.3 文法的に正しい英語を話せるようになる
Connected speechを学ぶことで学習者が手に入れる大きなメリットに、発話における文法の精度が上がる、というものがあります。筆者はこのメリットをとても重要なものと考えています。簡単な例で説明すると、She is a student.という短い文の中にShe is a = she’s_a = /ʃiːz ə/という一つの音の塊があり、これはsheという三人称単数とそのbe動詞is、そして続く冠詞のaという3つの文法要素がまとまっている頻出のコンビネーションです。これを一つの音として覚えてしまうことで、文法的な間違いを避けることができます。こういったコンビネーションは無数にあり、これを多く活用することで発話が楽に、正確になります。
3. 英語のリエゾンによる音声変化のパターン
3.1 連結(リンキング)
意味:単語の最後の音と、次の単語の最初の音が繋がって発音されること。
例:go on → /gəʊ wɒn/
※ /w/が挿入され、滑らかに繋がる
3.2 脱落(リダクション)
意味:発音しにくい音(主に息を多く使う破裂音など)が省略される現象。
例:friendship → /frɛnʃɪp/(/d/が落ちる)
3.3 同化(アシミレーション)
意味:ある音が、隣の音の影響を受けて似た音に変化すること。
例:Did you → /dɪʤuː/(/j/が/ʤ/に同化)
3.4 はじき音(フラッピング)
意味:アメリカ英語で、/t/や/d/が母音に挟まれると軽くはじくような音(ラ行に近い)になる。
例:water → /ˈwɑːɾər/(/t/が/ɾ/に)
3.5 短縮(コントラクション)
意味:2語を短く縮めて1語のように発音すること。
例:She is → She's(/ʃiːz/)
3.6 弱形(ウィークフォームズ)
意味:文中で強調しない単語(主に機能語と呼ばれる)が弱く、短く発音されること。
例:a → /ə/、to → /tə/(文中では弱く発音)
4. リエゾンを聞き取るためのおすすめ勉強方法
4.1 ディクテーションからスタート
これはすべての学習者におすすめしたい、音と文字を結び付けるトレーニングです。
やり方:英語音声を聞いて、一語一句書き取る。
目的:リスニング力とスペル力の強化。細かい音の聞き取りに効果的。
ポイント:文法・単語・発音の確認に役立ち、自己学習で完結できる。
4.2 ディクテーションした素材をシャドーイングで音声アウトプット
シャドーイングが間に合わない、という人の大半はconnected speechを活用できていないのがその理由です。音声変化をしっかり使えば、速そうに聞こえるネイティブの発話にも自然に乗っていけるようになります。
やり方:英語音声を聞きながら、ほぼ同時に真似して発音する。
目的:発音・リズム・イントネーションの習得。英語耳の育成にも効果大。
ポイント:テキストを見ずに行うのが基本(慣れるまでは見てもOK)。
4.3 最後の仕上げはconnected speechを活用したオーバーラッピング
ここまでくればある程度ネイティブと同じようなスピード、同じようなイントネーションとリズムで発話シミュレーションができるようになっていると思います。
やり方:英語音声を聞きながら、スクリプトを見て同時に発音する。
目的:正しい音・スピード・イントネーションを身につける。
ポイント:音読の延長で、口の動きとリズム感を体得するのに効果的。
5. まとめ
日本語と英語の音のシステムは全く異なります。日本語の音をそのまま英語の発話に使うことは残念ながらあまりできません。Connected speechの様々なルールに関しては、興味のある方は発音指導の専門家から一度きちんと学ぶ機会を持つと上達が早いと思います。ルールだけ知るのにはさほど時間はかかりません。その後の練習に時間をかけましょう。知識は体系化されると応用も比較的容易です。是非「脱カタカナ英語」を目指して頑張ってください!


