
英日翻訳(英語を日本語に翻訳すること)の仕事が気になる中高校生のあなた。自分はこれから遠い目標に向かって「なに」を「どんなふうに」勉強し続けていけばいいのだろう?そもそも「今」から始めていいの…?さまざまな疑問で頭の中が一杯なことでしょう。この記事がそれらの疑問への回答の一端になれるよう書いていきます。
1. 英語の翻訳者になるために必要な力
1.1 英文をきちんと理解する力
「翻訳者」と言っても訳すものは多種多様です。文芸作品?説明書?映画や番組の字幕?いずれにせよ英語の正確な理解が不可欠であることに違いありません。そして最近話題のAIも気になるところですが、人工知能の時代にはクリエイティブかつ正確な人間の英語力こそが翻訳の成否を分けるカギになるのではないでしょうか。「すべての翻訳作業はAIに取られる」という安易な未来はまだやって来ないと思われます。
「英語翻訳の勉強スタート地点はTOEIC® L&Rテスト800点」とまずは固く心に刻んでください。
1.2 文脈を把握する力
「文脈を把握する力」と言えば聞こえは良いのですが、これは「読解力」と同意語に過ぎません。あなたが翻訳家志望なら、「科目としての国語は得意ですか?」という質問には「はい、もちろん!」と即答したいところです。残念ながら今「はい!」と言えなかった人もまだ遅くありません。今日から(!)国語にも全力を注ぎましょう。英日翻訳の大前提となるのは英語に加え、日本語の「読解力」です。
1.3 的確に日本語に訳す力
1.2で「日本語の読解力が大事」と、なにやら「日本語」がエラそうな顔で登場してきました。このまま「日本語力の大切さ」の話が続きます。あなたは英語の一文を読んでその意味がわかった後、「さて、これをどう日本語に変換しようか?」と迷ったことがありますか?「迷いません。私には英語が理解できるのですから」ではなく、この質問には「必ず迷います」と答えてほしいと思います。「このセリフ、誰が言ったの?(王の言葉なら重々しく/子どもなら子どもらしさをにじませて)」「この人、どんな気持ちでこの言葉を言ったの?(悲しかった/嫉妬に狂っていた/ちょっと冗談で言ってみた)」などを十分に考慮しなければ、ただの「英文和訳」になってしまいます。翻訳者は英文を日本語変換する人ではなく、英文の内容をこの上なくわかりやすくかつ正確に読者へと伝える人なのです。
1.4 その分野と英語に関する専門知識
たとえば1800年代後半にイギリスで書かれた小説では、動詞callはまず間違いなく「電話する」ではありません。警察署など特殊な場所でなければまだ電話は設置されていない時代だからです。この種の、時代や分野に関する知識は後々必要に応じて身につけていけばよいものなので、特に早くから急ぐ必要はありません。しかし英語一般の知識はいくら多く・早く身につけておいても邪魔になることは決してありません。脳が若い間に、とにかく頭の中にドンドン放り込みましょう。「覚えて放り込む」ことができれば理想的ですが、まず頭の中に大量に入れていけば、そのうちに脳が自分で知識を整理し始めます。自分の脳を信じていくらでもインプットしてください。
2. 英語の翻訳者になるために効果的な英語の勉強法
2.1 基本的な文法・語彙の習得
おそらくこの記事を読んでおられる方の半数くらいは「文法」「語彙」と聞いてちょっと顔をしかめるかもしれませんが、「これら2つは、英語をきちんと理解するためには必須ですね?」と尋ねると「はい」と返事せざるを得ないはず。「よ〜し、じゃあ単語集を買って…!」のその前段階として、明日の授業で行われる単語テストや小テストで満点を取る用意はできていますか?「灯台下暗し」とは、まさにこのことです。大切なことはあなたに近い場所に必ずあります。明日の単語テストや小テストで満点を取ることが当たり前になっている準備万端なあなたは、英語力が数字で表れるもの(TOEIC® L&Rテストなど)を受験していくと、ご自分の力の目安にできるでしょう。
2.2 英文を状況に合わせて訳す練習
ごく単純な"Where do I see?"という1文、あなたなら何種類に和訳できそうですか?「こういう場面での言葉なら」「ああいう設定なら」と考えていきます。たとえば街の1日ガイドツアーに連れて行ってもらうなら「今日は何が見られるかな?」かもしれませんし、あなたの写真を撮ってくれているカメラマン役の友人が相手なら「視線はこっちでいい?」かもしれません。"Where do I see?"を「私はどこを見ますか?」と訳すのは英文和訳としては正解ですが、「状況に合わせた訳し方」として考えると適切か?ということは、常に意識しておく必要があります。
3.3 音声も取り入れての練習
リスニングとスピーキングが実はひそかに苦手なので「読む・書く」だけで済む翻訳を仕事にする…のも確かに1つの選び方でしょう。しかし考えてみてください。「言語」は必ず音声でのコミュニケーションから始まります。「読む・書く・聞く・話す」の4本柱が揃ってこその言語力です。**音声関係が得意な人も苦手な人も、最終結果はともかくとして、必ず勉強に組み入れてください。文字だけの英語の世界が大きく広がります。
3. まとめ
さて、「翻訳に興味を持ち始めた中高校生のあなた」に向けて書いてきましたが、けっこう厳しい話になってしまいましたね。実際のところ「一生に1冊でいいから翻訳書を出したい!」と心の底から望みながらも、それを実現できる人はあまりにも少ないのです。そして夢に届かない最大の理由が「英語力不足」だと気づかない人が残念ながら多すぎるのです。素晴らしい仕事・翻訳をご自分の職業にしたい人は、ぜひ今日からさらに英語力を磨き始めましょう!


