
ちまたでは「ビジネス英語」や「ビジネス英会話」という言葉が飛び交っていますが、具体的に何がどれほど違うのだろうかと疑問に思ったことはありませんか。ここでは英語中上級者が「ビジネス英会話」の上達を目指す時に考慮していかなくてはならないことについて簡単にまとめています。
1. ビジネス英会話とは?
ビジネス英会話とは、仕事の場で必要とされる英語コミュニケーションスキルの総称です。単に英語で話せるだけではなく、プロフェッショナルとして信頼を得る言葉選びや態度も含まれます。日本語環境のビジネス現場に照らして考えれば当たり前のことですが、学生のような言葉遣いやため口などはフォーマルなビジネスの場にはふさわしくありませんよね。英語でも同じです。英語がとても流暢そうな帰国子女でも学生時代しか海外経験がない場合、適切なビジネス会話が出来ないケースもよく見かけます。
1.1 日常英会話との違い
日常英会話はカジュアルな場面での意思疎通を目的とし、砕けた言葉や省略が許容されます。一方、ビジネス英会話では、以下のような要素が重要視されます。
- 丁寧さと明瞭さを同時に重視する話し方
- 状況に応じた敬語表現(polite forms)の使用
- 曖昧さを避け、正確かつ戦略的に発言し、相手を納得させる話力
- 異文化間でのコミュニケーション齟齬(そご)の危険性を熟知し、それを防ぐための配慮がある伝え方
2. ビジネス英会話を学ぶべき理由
2.1 マナーのある話し方学ぶ
英語の表現が稚拙だと、「直接的すぎる」と相手に受け取られ、不快に思われてしまうことがあります。そのような表現を避けるための知識を持ちましょう。「英語の敬語」は体系的にきちんと学ぶことができます。ビジネス英会話の習得によって、相手を尊重しつつも言いたいことを伝えるバランス感覚を養うことができます。
2.2 ビジネスシーンで軽く見られない
文法ミスやカジュアルすぎる表現は、相手に「準備不足」「経験不足」という印象を与えることがあります。細かい文法ミスも、数が重なると相手にとっては「不快なもの」「不信感」に繋がっていきます。正しい文法、語彙選択、表現は信頼感や専門性の裏付けになります。「伝わればよい」という自分勝手な考えはビジネス英語においては「甘い」アプローチだと言えるでしょう。
2.3 会議や交渉で譲歩を引き出す
交渉の場で、相手の立場を尊重しながら自分の利益を守る言い回しができますか?たとえば、Would you be open to considering...?(…をご検討いただけますか?)などは、相手にとって少し難しいかもしれないことを提案する際に強制せずに相手を動かす柔らかい表現です。自分の意見の正統性だけを述べても相手からの譲歩は引き出せません。言葉のドレスアップは無料でできます。人の印象は言葉一つでずいぶんと変わるものです。
2.4 より高いポジションへの昇進を勝ち取る
グローバル化が進む中、英語で成果を発信できる人材は昇進・海外赴任のチャンスが広がります。特にグローバル案件からの収益の比重が拡大傾向にある昨今では、「英語で緊密な人間関係を構築し、相手から気持ちよく譲歩を引き出せる」人材は企業にとって宝です。また、単に英語ができるだけでよいならばいくらでも人材はいますが、マネジメントレベルで外国人部下を管理掌握できる英語巧者になれるかどうかは、人材としての価値の大きな分かれ目になるでしょう。
3. ビジネス英会話の勉強を始める前にやるべきこと
3.1 自分が英語を何の武器に使いたいのか明瞭なイメージを持つ
「英語はツールだから」と言うのは簡単ですが、ツールがどこかに売っているわけではありません。かつての職人のように、自分に合ったツールを自分で創り出す必要があります。自分のキャリアにとって、どのような場面でどのような対応が英語でできることが重要なのか、しっかり洗い出してから学習計画を立てましょう。
3.2 自分の身の回りのロールモデルを探す
職場、または知人、友人に英語力を武器にビジネスで成果を出している人を探しましょう。具体的なロールモデルの有無は学習進捗にかなり大きな影響を与えます。身近な人ならばその人の言い回しやコミュニケーションスタイルから良いと思うところを盗みましょう。また、周りに外国人の同僚がいれば、どのような話し方が好印象なのかもリサーチしてみると、より具体的に目標が見えてくると思います。
3.3 自分の目的に相応しい学びが得られる場を探す
ここまでで、自分がどのような「ビジネス英語話者」になりたいかのイメージが膨らんできたと思います。大きな目標の頂に至る道は数多くありますが、まずは最も自分に関わりの深い分野から攻めていきましょう。外資系企業向け英語スクール、業界別オンライン講座、英語での社内研修、プライベートレッスンなど、自分の目的を最短で叶えてくれそうな環境を選ぶとよいでしょう。
4. ビジネス英会話を効果的に習得するための勉強法
4.1 英語学習の基本は全て同じ
リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの4技能をバランス良く鍛えることは、ビジネス英語でも一般英語でも変わりません。ビジネス英語に真剣に取り組みたいのであれば、インプットレベルはTOEIC® L&R TESTなら800点以上欲しいところです。700点台からもチャレンジは可能ですが、その場合はビジネス英語習得に並行して文法や語彙などの穴埋めを行う必要があります。
4.2 語彙力を圧倒的に上げる
TOEICよりも語彙が数段難しいTOEFL®でさえ、試されるのはアメリカ人の高校生レベルの語彙です。筆者は自分の生徒さんには厳しく語彙指導をしていますが、それは「知らないものはどうやっても分からない」からで、外国語コミュニケーションにおいて語彙はあればあるだけ有利だからです。TOEICの語彙(たとえ900点レベルでも)で満足せずにもっともっと上を目指しましょう。一般常識レベルのアカデミック用語はビジネスにも必須です。その他にも業務で使う専門用語や会議・交渉で頻出する表現もカバーしましょう。
4.3 ユーモアのセンスを磨く
英語圏では軽いジョークや雑談で人間関係を築く文化があります。ビジネスの場でも適度なユーモアは信頼構築の潤滑油になります。会話に「良い笑い」の要素を取り入れていく努力をするだけでも大きなメリットがあります。それは日本語でも英語でも同じで、日ごろから「ネタ探し」をしておくのも立派なビジネス英語の練習です。
4.4 自分のビジネス分野のニュースや動画を徹底的に見尽くす
業界用語や最新の経済動向、業界のトレンドなどを英語で理解できれば、会議での発言やメールの質が格段に向上します。いきなり話しかけられた内容にもすぐにレスポンスできる確率が高まります。YouTubeやその他ポッドキャストなどを通して日本の国内ニュース以外の媒体に毎日触れるようにしましょう。特定のトピックに対して繰り返し使用される語彙、表現、構文などの蓄積されたインプットがあればアウトプットにも転換しやすいです。
5. まとめ
ビジネス英会話は単なる言語スキルではなく、キャリアを前進させる戦略的ツールです。ですがそのツールは万人向けでもなければお店で売っているわけでもありません。目的を明確にし、自分の分野に即した学習を行うことで、自分の目的を達成するための最強のツール、武器としての英語を手にすることができます。これは他の誰もあなたから奪えない、あなただけのツールだからこそ大きな価値があるのです。ぜひ自分だけの武器を手に入れてください。


