
動画コンテンツが学習素材の中心を占めつつある現在、無尽蔵にも思える無料のYouTube動画をどのように学習に取り入れられるかで学習コンテンツと学習方法のバリエーションが飛躍的に増えそうです。今回の記事では、動画を使って自己学習をしてみたいけれど、どう始めようか悩んでいる方にYouTubeの基本的な活用方法やお薦めのサイトなどを厳選してお届けします。
1.英語学習をYouTubeで行うメリット
1.1 無料でコンテンツを利用できる
デジタルコンテンツやAIの普及により、無料で使える学習素材がますます多くなりました。特に動画は最も時代に合った魅力的な学習素材として注目されています。ウエブサイト、ポッドキャスト、ChatGPTのようなAIツール、そしてもちろんYouTubeなどがその代表例です。現在ではネット上の動画の多くがYouTubeに保存され、2024年1月時点で27億人以上の月間アクティブユーザーがおり、毎日膨大な量の動画がアップロードされ続けています。もちろんこの中から自分に合ったものを取捨選択する必要がありますが、古いものから最新のものまで、必要十分すぎる学習素材のプールがあるということが、YouTube学習の大きな利点です。
【参考】https://www.youtube.com/@alphabetir
1.2 時間や場所を気にせず学習可能
動画コンテンツは録画されたものですから、もちろん自分の好きな時に好きなだけ活用することができます。学習系の動画に関しては、簡潔に短く、視聴者を飽きさせない工夫がされているものも多く、近年ではYouTube Shortsという短い動画も人気です。イヤフォンがあれば通勤通学中の電車やバスの中でも人目を気にせず視聴できますし、視聴を途中でやめても、前回終わったところから再開することがとても簡単です。現代の忙しいビジネスパーソンや学生にとってYouTubeを使った学習はとても現実に即したコスパの良いものであり、またエンターテイメント性も高いので、継続視聴がしやすいものとなっています。
1.3 自分のペースで学習できる
YouTubeに上げられている動画をどんな目的でどのように使うかは学習者個人の自由ですし、どこまで動画を使いこなして学習できるかも全く個人の裁量です。自由度が高いだけに、YouTubeを中心に学習をしようとする場合、自分なりの学習計画をきちんと決めて取り組んだ方が良いでしょう。しかし、メインとなる学習方法が他にあって、YouTubeを補助学習教材として使う場合はその限りではありません。動画というものの性質上、「ただ観るだけ」から「徹底的に学習素材として使い倒す」まで活用の幅が広いのも魅力的です。
2. 聞き流すだけでOK!おすすめ英語初心者向けYouTubeチャンネル
このセクションではエンターテイメントとしてではなく、英語学習という目的に沿ったYouTubeチャンネルを複数おすすめしたいと思います。皆さんそれぞれお気に入りのYouTuberがいると思います。そういったYouTuberによる英語チャンネルから、ぜひモチベーションや学習上の気づきをたくさん得てください。
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世界のニュースチャンネル 筆者自身のニュースメディアの登録チャンネルを確認したところ、ニュースチャンネルだけで20ほどありました。筆者が学習素材として常に生徒さんへの課題として活用しているチャンネルの一部をご紹介します。
ニュースメディアを学習素材としておすすめする理由は、ニュースアンカー(各ニュース番組の主たるキャスター)の英語はトレーニングを受けた話し方なので、正確さはもちろん、英語自体が聞き取りやすいからです。また、自分にも関係のある世界や経済の出来事に関するボキャビルをすることもできます。
NHK World Japan:日本関連のニュースを英語で
Bloomberg Originals:経済やサイエンスのホットなトピックス
The Wall Street Journal:政治経済に強く、特定の会社にフォーカスしたものなども
Forbes:政治経済に強く、短めの良い動画が豊富
BBC News:正統派ジャーナリズムとヨーロッパの視点
Harvard Business Review:ビジネスとアカデミックの優良コンテンツ -
その他
National Geographic:自然、動物、地球環境系の優れたドキュメンタリー。長いものが多いが、内容に興味があれば英検準1級、1級対策などにもとても有効
TED:選び抜かれたプレゼンのコンテンツ。学習素材としても有名
Oxford Online English:英語学習に特化したサイト。英語で英語を学ぶ
Sounds American:アメリカ英語の発音の基礎
3. YouTubeを活用した英語学習法
3.1 字幕機能を利用する
YouTubeの字幕機能はAIが登場してからかなり改善されました。100%正確とは言えませんし、パンクチュエーション(コンマやピリオド、クオーテーションマークなど)は割愛されている場合も多いので気を付けなくてはいけません。ただ、これだけの動画の字幕が他言語で一瞬で表示されるというのは素晴らしいですね。字幕を活用しての学習にはさまざまなやり方があります。以下は個別のトレーニングとしてもできますし、ひとつの動画を学習に使い倒すステップとしても活用できます。
3.1.1. 発話フォーカスのサマリー
短めの動画(5分以内)を選び、まず日本語字幕を出して動画を視聴し、内容を把握する。次に動画内で使われている重要表現を英語字幕を使って抽出する。最後に自分の言葉と必要な重要表現を使って1-2分で内容をサマリー(要約)する。
3.1.2. 聞き取りフォーカスのサマリー
短めの動画(5分以内)を選び、字幕をオフにして聞き取り、内容を1-2分でサマリーする。
3.1.3 ディクテーション
字幕をオフにして聞き取ったものを書き取ったり、Wordに打ち込んだりし、十分に聞き取ってから今度は字幕をオンにして自分の聞き取りと比較する。この作業を通して自分の聞き取りが上手くいっていないところを認識し、先の学習につなげることができる。
3.1.1.と3.1.2は発話練習としてはもちろん、ライティングの練習としても効果的です。サマリーしたものに対してフィードバックをくれる教師やコーチがいない場合、発話は録音した後にAIなどを使って書き起こし、それをさらにChatGPTなど言語に強いAIに入れてフィードバックをもらい、文法や語彙選択の間違いを見直すようにします。ライティングの場合も同様です。自己学習で解答の無いものをトレーニングする場合、やりっぱなしになりがちですが、ぜひ、ひと手間かけて、AIからより良い英語のアウトプットになるようにアドバイスをもらいましょう。
3.2 再生速度を調整する
YouTubeには学習に便利な機能が多く搭載されていますが、そのうちのひとつが再生速度の選択です。画面下の「設定」から「再生速度」を選ぶと0.25倍から2倍までを0.25単位で調整することができます。リアルタイムのリスニングの難しさは、生身の相手は自分に合わせたスピードでは話してくれない、という点にありますが、YouTubeの機能を使えば速度を自由に選ぶことができます。話者の発話スピードが速すぎると感じたら少しスピードを落としてみて、聞き取れるかどうか試してみましょう。
また、敢えて字幕なしで1.25~1.5倍のスピードで集中して視聴し、その後にノーマルスピードに戻すと聞き取りやすくなる、という場合もあります。しかし、再生速度を落としても発話内で起きている音声変化を明瞭にすることはできません。無い音は無いのです。音声変化が理由で聞き取れていない場合、速度を落としても聞き取れないということが多いです。
3.3 シャドーイングの活用法
シャドーイングという学習方法は大変一般的になりましたので、ご存知の方も多いと思います。耳から聞いた音をそのまま口から出す、という、もともと同時通訳者のトレーニング方法だったものです。この目的は、耳から聞いたものを「忠実に」口から出す、というところにありますが、多くの日本人学習者は「耳から聞こえた自分の知っている単語を自分の話し方で話す」シャドーイングをしています。これでは全く発話のリズムやスピードに乗ることができず、逆効果にもなりかねません。シャドーイングは子供のように「口真似」に徹しましょう。シャドーイングはYouTubeに限らず、音声を伴う素材であれば何でも使うことができます。
3.4 スキマ時間を使った学習方法
多忙を極める現代人には、なかなか学習のための時間を確保するのが難しいので、スキマ時間を使った学習方法に関して、このシリーズの記事でも多く取り上げています。学習時間は待っていても生まれませんので、自分から捻出していく努力が必要です。ご自身の毎日の生活の中から捻出できそうな時間を書き出してみましょう。また動画視聴に適した時間帯なども考慮してみると良いでしょう。
4. まとめ
英語学習者にとってYouTubeは巨大な宝の山です。まずはいろいろなチャンネルを訪問して好みのチャンネルを登録しましょう。興味のあるトピック、聞きやすいナレーターを選び、旬の英語表現を知ったり、リアルな発話スピードに慣れたり、と多様な楽しみ方を見つけてみてください。


