
「寝ている間に英語を覚えられたらいいのに…」と思ったことはありませんか?睡眠学習はまさに夢のような学習法として注目を集めたことがありましたが、英語の習得にも有効なのでしょうか。
今回はそんな「睡眠学習で英語が上達するのか」という疑問について解説していきます。
1. 睡眠学習とは?
1.1 睡眠学習の定義
一般的に、睡眠学習はその名のとおり「眠っている間に学習する勉強法」を指します。何もしていない睡眠時間を学習に充てることができるという考え方は画期的で話題となり、日本でも実際に1960年代に睡眠学習の機械が登場したこともありました。
1.2 睡眠学習の科学的根拠
昔は睡眠学習についての科学的な根拠はあまりなかったのですが、2014年になって “Boosting Vocabulary Learning by Verbal Cueing During Sleep”というタイトルの論文が「Cerebral Cortex」というジャーナル誌に掲載され、睡眠学習の効果が再度注目されることになりました。
この論文ではどのようにして睡眠学習の効果を検証したかが説明されています。実験では、まずドイツ語ネイティブの生徒60人にオランダ語の単語をいくつか覚えさせました。その後、半数は仮眠を取り、残りの半数は起きたままで過ごさせました。
このとき、仮眠を取っていたグループには仮眠中にオランダ語の単語音声を聞かせ、起きたままのグループにも同じ音声を聞かせました。その後、被験者全員に単語テストを再度実施したところ、仮眠を取ったグループのほうが良い成績だったそうです。
とはいえ、「寝ている間にも学習ができる」ということについては、まだはっきりとした結論は出ていません。ですので、あくまで一つの可能性としてご紹介している点にご留意ください。
一方で「寝る前に覚えたものは定着しやすい」という説は科学的に裏付けられています。英語学習にも応用ができるので、このような知識は効率的な英語学習を考える上でも知っておいて損はないでしょう。
2. 英語学習における睡眠学習の活用法
2.1 睡眠学習前の準備
ここまで見てきたように、睡眠学習自体はまだはっきりとした結論は出ておらず、あくまで一つの可能性の話になります。そのうえで、「寝る前に覚えたものの定着を図る」ことの補助の一つとして試すのであれば、寝る前にあらかじめ自分が覚えたい単語やフレーズなどをしっかり学習しておくことが必要です。
先ほどご紹介したオランダ語の実験もそうでしたよね。したがって、まずは起きている間にきちんと記憶することを意識して勉強しましょう。
2.1.1 覚えたい単語やフレーズの選定
睡眠をとる前に、「今日はここからここまでの単語・フレーズを覚えよう!」という範囲を明確にしておくことも重要です。ただし、起きている間に覚えきれないほどの量をこなしても意味がないので、自分が消化できそうな、無理のない量にとどめておきましょう。
2.1.2 リスニングコンテンツの選び方
睡眠中に流すリスニング用のコンテンツについては、当然のことながら起きている間に学んだ内容と直結するものが望ましいですね。最近では音声データ付きの単語帳も多いので、そのような教材を使用するのがベストです。
2.2 睡眠中に行うこと
2.2.1 ノンレム睡眠の重要性
「Cerebral Cortex」誌に掲載された論文では、被験者がノンレム睡眠に入っている間に音声を流したとのことです。ノンレム睡眠は、“Non-Rapid Eye Moving Sleep”のことで、眼球が動かず、夢を見ない深い眠りのことを言います。脳の疲労回復や成長ホルモンの分泌に重要で、睡眠の前半に多く見られます。
2.2.2 音声再生のタイミング
こうしたことから、睡眠学習のためにリスニングコンテンツを流すのであれば、入眠後の早いタイミングが好ましいと考えられます。自分がいつ眠ったかはわからないので、眠りに入る前から音声をリピート再生しておくというのがよいでしょう。
2.3 香りを使った記憶の定着法
音声の他に、香りも記憶の定着に効果的とされています。特定の香りが記憶や感情と結びつく現象は「プルースト効果」と呼ばれています。フランスの作家「マルセル・プルースト」が著書「失われた時を求めて」の中で、マドレーヌを紅茶に浸した際の匂いから幼少の記憶を思い出す一節があり、それに由来したものです。
これを応用して、例えばこの単語帳を覚えているときは〇〇の香り、この教科書を使っているときには△△の香り、というように、特定の香りと学習内容を結びつけるのもよい方法かもしれません。
3. 睡眠学習の具体的なステップ
3.1 ステップ1:起きている間にしっかり学習
上述のとおり、睡眠学習はあくまで記憶の定着を補助する一つの可能性の手段です。起きている間に自分で「ここからここまでの単語を覚えよう」と意識して勉強しましょう。
3.2 ステップ2:音声コンテンツの準備
次にやることは、眠っている間に流すための音声コンテンツの準備です。これも先ほどご紹介したように、単語帳などにセットされている音声データを用意しておけばよいでしょう。
3.3 ステップ3:ベッドに入ったら再生
ベッドに入ったら早速、用意した音声を再生します。ノンレム睡眠は睡眠の前半に多いので、ある程度時間を見計らってタイマー設定しておくのもいいですね。自分や他人の睡眠を妨げない程度のボリュームにしておくのもお忘れなく。
3.4 ステップ4:起床後の復習
最後に、翌朝起きたら前夜の学習内容を一度復習してみましょう。復習すること自体も記憶の定着に効果がありますのでぜひ取り入れてみてください。
4. まとめ
英語学習法のひとつとして「睡眠学習」をご紹介しました。科学的にはまだ結論が出ていませんが、勉強した英単語などをしっかり記憶に定着させるためのひとつのやり方として試してみてはいかがでしょうか。


