
ビジネスパーソンの英語力を測る最も一般的な試験のひとつであるTOEIC® L&R TEST。しかし、時折「TOEICの勉強をしていてもビジネス英語ができるようになるとは限らない」というコメントを見かけたりします。TOEICスコアアップとビジネス英語の習得は果たして両立するものなのでしょうか?今回はそうした疑問を深掘りしていきたいと思います。
1. TOEICのビジネスへの活かし方
1.1 キャリアアップ
TOEICスコアは、英語力を客観的に示す指標として、多くの企業で評価されています。転職、特にグローバル展開を進めるような企業や外資系企業へのキャリアチェンジを考える場合、TOEICのスコアで英語力を証明できることは大きな強みとなるでしょう。また、スコアが高いことで英語を使う業務を任されるチャンスが増え、自身の実務経験の幅を広げることにもつながります。単なるテストの得点にとどまらず、将来的なキャリアの選択肢を増やす手段として、TOEICスコアアップは非常に有効です。
1.2 昇給・昇進できる可能性
社内での昇給や昇進においてもTOEICスコアが判断材料として活用されていることも多いですね。海外展開を進めている日本企業の多くでは、特にマネジメント層に一定以上の英語力を求める傾向が高まっていることから、TOEICスコアをアップさせることは社内におけるポジションアップにも寄与すると言えます。また、TOEIC〇〇点以上で××円をボーナスとして支給する、といった制度を導入している企業もあり、高スコアを目指すことによるメリットは大きいと言えるでしょう。
1.3 海外で仕事のチャンス
もうひとつ欠かせないのが、TOEICのスコアアップをすることによって海外駐在などへの可能性が広がるという点です。グローバル部門や国際業務を担うポジションでは、ビジネス英語でのコミュニケーション力を証明する手段として、TOEICスコアの提出が求められる場合が多くあります。海外駐在だけでなく、海外出張や外国人との協働プロジェクトなど、英語を使用する業務への登用にも直結するため、将来のチャンスを広げる有力な武器となります。企業によってはTOEIC800点以上をひとつの基準としているところもあり、継続的なスコア管理が求められる場合もあります。
2. TOEIC対策とビジネス英語は両立できる?
2.1 両立することのメリット
TOEIC対策とビジネス英語の両立をすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか? TOEICは語彙・文法・リスニング・読解といった基本的な英語力を測る試験であり、これらの力はビジネスシーンでも不可欠です。一方で、ビジネス英語を通じて得られる表現力や思考力は、TOEICのスコアアップにも好影響を与えます。両方をバランスよく学び、「使える英語力」を身につけながらスコアも伸ばすことで、就職・転職・昇進・海外赴任といったあらゆる場面において、自信をもってチャンスを掴む力となります。限られた時間の中で効率よく英語力を伸ばすには、この両立型の学習スタイルが非常に効果的です。
2.2 ビジネス英語習得がTOEICスコアに与える影響
ビジネス英語を勉強しておくことで、TOEICスコアに間接的なよい影響を与えることは可能です。TOEICは特定の業界に偏らない、一般的なビジネスに関する英語の出題が多いのですが、ビジネス英語を学ぶうちに自然とそうした英語のボキャブラリーや表現を身につけることができます。また、ビジネス英語で様々なバリエーションの英語を読んだり聞いたりすることで英語に対する感覚も鍛えられるので、自然とTOEICで出題されるような問題に対しても「何が重要な情報なのか」「どこに注意して読めば・聞けばいいのか」というポイントに敏感になることができます。
2.3 両立のための効果的な学習法
TOEIC対策と実践的なビジネス英語力の向上は、別々に取り組むよりも、共通点を活かして効率的に学習するのが効果的です。例えば、TOEICのPart 7(長文読解)は実際のビジネスメールや社内文書に近い構成であるため、読み慣れることで実務力にも直結します。また、リスニングセクションの内容も会議や電話対応を模したものが多く、実践にも応用可能です。TOEICを単なる試験と捉えるのでなく、「ビジネス英語の土台作り」として活用する意識が、両立のカギとなります。さらに、英語ニュースやビジネス記事を学習素材に加えることで、TOEICと実務の両面に効果を発揮する学びが可能になります。
3. TOEICのスコアが良くてもビジネスで英会話ができないこともある
3.1 TOEICでは英語を話すテストは実施されない
TOEICのスコアは良くても、実際のビジネスの場面では英語がうまく話せない…という声を耳にすることがあります。TOEIC(TOEIC® L&R TEST)はリスニングとリーディングだけの試験です。そのため、英語を読んだり聞いたりするのはある程度得意であっても、いざビジネスで英語を使う(書いたり話したりする)際に苦労することがあります。
3.2 自分の業界に関する英語は自分で勉強する必要がある
TOEICの問題は、どの業界にも共通して見られるような場面を想定したものが多く出題されます。これは、特定の業界に特有の知識や文化的な背景などによって優劣が出ないように配慮されているためですが、逆に言うと自分が働いている業界に特有の単語や表現などはTOEICでは出題されないということになります。そのため、そうした知識はTOEIC対策とは別に自分で補強する必要があります。TOEIC向けの勉強だけをしていると、広く浅くビジネスに関する英語は知っているけど、ちょっと突っ込んだ会話になるとさっぱり分からない…、といったことが起こりえます。もしそう感じる場合には、専門用語などを自分で勉強するようにしましょう。
3.3 実際のビジネスシーンはより複雑であることが多い
TOEICで出題されるのは例えば会議のオープニングやホテルへの問い合わせなどのよくあるビジネスシーンがほとんどです。一方、実際のビジネスシーンでは、より文脈に依存した複雑なケースに対応しなければならないことがよくあります。こうした「より込み入った」シチュエーションに対応するにはTOEICで高得点を取るだけの基礎的な英語力に加えて、働いている業界の慣習や人間関係などを含めた総合的な対応力も問われるため、ビジネス英語のほうが難しく感じるということがあります。
4. まとめ
TOEICスコアアップとビジネス英語の習得を両立させるには、それぞれの特性を理解した上で学習プランを立てる必要があります。TOEICで問われるような一般的なビジネス英語を基礎として、その上に自分にとって必要な業界特有の要素を加えていくようにすると、効果的にビジネス英語力もアップできるでしょう。


