
将来のキャリアを考えるうえで、英語力は大学生にとって欠かせないスキルの1つです。その英語力を客観的に測れる試験として、多くの学生が活用しているのが、TOEIC® L&R TESTです。この記事では、大学生にとってのTOEICの意義や、目標とすべきスコア、効率よくスコアを上げるための学習法について詳しく解説します。
1. 大学生がTOEIC® L&R TESTを受験するメリットは?
1.1 就職活動でのアピールポイント
就職活動では、TOEICスコアが強力なアピール材料になります。出身大学の偏差値に関わらず、高得点を記録すれば「努力できる人材」という評価につながります。人気企業では少ない枠をめぐる競争が激しいため、TOEICのハイスコアで自分を差別化しようと、多くの学生が挑戦しています。
1.2 海外留学やワーキングホリデーの可能性
在学中に留学やワーホリを考える人にとってもTOEICは役立ちます。渡航前にTOEIC対策を通じて基礎力を固めておけば、現地ではスピーキングに集中できるからです。文法や語彙、リスニング、読解をバランスよく強化できるのはTOEIC学習ならではの利点です。
1.3 英語スキルの向上によるキャリアパスの拡大
英語力は、日本国内のキャリアだけでなく、海外就職や外資系企業での活躍にも直結します。海外では日本の数倍の給与が得られるケースもあり、英語力はそのようなポジションを手に入れるための必須条件です。TOEICを通じて基礎から英語力を高めておけば、将来的に海外勤務や外資系への転職といったキャリアパスも検討しやすくなります。選択肢が増えれば、給与や待遇の面で妥協する必要も少なくなるでしょう。
2. 大学生のTOEIC® L&R TEST平均スコアと目標スコア
2.1 現在の大学生の平均TOEIC® L&R TESTスコア
大学生のTOEIC平均スコアは、2023年時点で589点と発表されています。一方で、同じ年の社会人平均は639点で、その差は50点です。社会人の方が英語力を求められる場面が多く、自然と高いスコアが必要になることがわかります。しかし、社会人になってからは日々の業務に追われ、学習時間を十分に確保するのは容易ではありません。だからこそ、比較的自由に時間を使える大学生のうちに基礎力を高め、TOEICで確かなスコアを取っておくことが大切です。
出典:TOEIC® Program DATA&ANALYSIS 2024
2.2 目標スコア別の難易度
2.2.1 600点
600点は、大学生にとって平均点よりやや上のスコアです。学年進級の条件として600点を課している大学もあるように、多くの学生が到達可能な水準といえます。600点レベルの人は、シンプルなトピックや日常的な場面であればある程度理解でき、会話や文章の中で強調された単語やフレーズを手がかりに必要な情報を拾えることもあります。ただし、理解できる部分よりも取りこぼす部分の方が多く、細部まで正確に把握するのはまだ難しい段階です。
2.2.2 700点
700点は、大学生にとって平均から頭一つ抜けたレベルです。業界や職種にもよりますが、このあたりからはエントリーシートに記載すると評価されるケースが出てきます。600点レベルに比べると、基本的な語彙や文法が定着してきており、読んだり聞いたりした英語の細部まで理解できる場面が増えてきます。700点レベルの人は、要点だけでなく具体的な情報も拾えることが多くなりますが、依然として表面的な理解にとどまることが多く、深い内容の把握や背景理解にはまだ課題が残る段階です。
2.2.3 800点
800点は、英語力の基盤が十分にあると認められるスコアです。会社によっては、英語を使う業務ポジションへの応募条件とされることもあり、800点を持っていれば国際的な部署に配属される可能性も高まります。800点レベルの人は、TOEICで扱われる英語の内容を8〜9割ほど正確に理解し、会話や文章の流れを自然に把握することができます。ただし、抽象的な表現や細かなニュアンスを深く理解するにはまだ経験が必要で、今後の実践を通じてさらに伸ばせる余地が残されています。
3. TOEIC® L&R TEST学習を始める前に決めておくこと
3.1 目標スコアを決める
TOEIC対策を始めると決めたら、まずは目標スコアを設定しましょう。スコアの目安は前述のとおりなので、自分にとって必要で、かつ達成可能な数字を掲げることが大切です。段階的な目標スコアを設定し、「いつまでに何点を取る」と期限を切るのがおすすめです。小さな成功体験を積み重ねることで自信が生まれ、学習のペースも自然と加速していきます。
3.2 学習計画を立てる
目標スコアを決めたら、次に考えるべきは達成までの学習計画です。短期間でスコアを上げたい場合は、TOEICに特化した教材や講座を活用するのが近道です。一方、半年以上の長期的な学習を想定しているなら、英会話や自分の興味のある分野の英語素材を取り入れるのも効果的です。英語力そのものが向上すれば、TOEICスコアも自然に伸びていきます。自分にとって取り組みやすく、無理なく継続できる方法を選ぶことが、最終的には一番の成果につながります。
4. 効果的なTOEIC® L&R TEST勉強法
4.1 語彙力をアップさせるための勉強法
単語力を伸ばすには、反復学習が欠かせません。短期間で大量に覚えた単語は忘れやすいため、何度も復習することが重要です。復習はテスト形式で行うと効果的で、赤シート付きの単語帳や単語アプリを使って記憶を呼び出す練習をしましょう。一定期間を空けて繰り返すことで、定着率はさらに高まります。また、音声を聞いたり音読したりしながら新しい単語を覚えると、視覚だけでなく聴覚や発話も使うため、より強く記憶に残りやすくなります。
4.2 文法力を鍛えるための勉強法
文法力を伸ばすには、まず基本を徹底することが大切です。品詞や動詞の形など、文の構造に直結する部分はしっかり理解しておきましょう。穴埋め形式の問題演習も効果的ですが、角度を変えて、かんたんな英文を口頭で作れるかどうかを確認すると文法がより定着します。口頭演習は、文法理解を深めるうえで最も効果的であり、同時にTOEICで求められる瞬発力を養うことにもつながります。
4.3 リスニング力向上のための方法
英語の発音に慣れていないと、TOEICに出る会話やトークが聞き取れなかったり、テンポについていけなかったりします。この問題を克服するには、まず耳を英語の音に慣らすことが必要です。耳慣らしでは、大量に聞くだけでなく、音声を真似して音読することが効果的です。リスニングや発音で最も重要なのはリズムと抑揚です。お手本の音声をできるだけ忠実に再現するつもりで、リズムと抑揚を意識して音読練習を繰り返しましょう。
4.4 長文読解力を高めるための勉強法
長文を「速く読もう」とする人が多いのですが、TOEICの長文対策は「急がば回れ」です。速読できるようになるためには、まずはゆっくりと文の構造を把握し、英語の語順で意味を取る練習を重ねましょう。その基礎が身についたら、文と文のつながりや段落ごとのまとまりを意識した読解に進みましょう。これらのステップを踏むことで、読むスピードは自然に上がり、文脈全体の理解も深まっていきます。
4.5 問題集の活用
TOEICの問題集は、繰り返し復習することが重要です。出題傾向が明確なテストであるため、問題集で身につけた知識や解き方はそのまま本番に活かしやすいのが特徴です。わからない点を残さず、ていねいに取り組むことがスコアアップへの近道になります。学習の際は、リスニングではできるだけスクリプトを見ずに聞き取る練習をすること、リーディングでは解答の根拠を自分で説明できるまで理解を深めることを意識しましょう。さらに、600点を目指すなら正答率7割、700点を目指すなら8割を目安にすると効果的です。上級問題にこだわりすぎず、自分の目標レベルに合わせて学習を進めることが、効率的な対策につながります。
5. まとめ
TOEICスコアと対策を通じて培った英語力は、大学生にとって将来のキャリアを有利に進めるための大きな武器になります。まずは目標スコアを定め、自分に合った学習計画を立てることが第一歩です。語彙・文法・リスニング・読解をバランスよく鍛え、問題集などを繰り返し活用すれば、着実にスコアを伸ばすことができます。学生のうちに英語の基礎を固め、理想のキャリアを手に入れましょう。



