
試験対策の王道とも言える過去問。ですが、日本ではTOEIC® L&R テストの過去問が公開されていないことをご存じでしょうか。この記事では、そんなTOEIC® L&R テストの過去問事情や、公式問題集をはじめとしたTOEIC® L&R テスト対策のための問題集の効果的な使い方などを解説します。
1.TOEICの過去問は存在しない?
日本でTOEIC® L&R テストを実施しているIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は過去問を公表していません。これにはさまざまな理由があるとされていますが、その一つとして、TOEIC® L&R テストでは過去に出題された問題を再利用していることが挙げられます。
IIBCのサイトによると、TOEIC® L&R テストのスコアは正答数そのままの素点(Raw Score)ではなく、スコアの同一化(Equating)と呼ばれる統計処理によって算出された換算点(Scaled Score)であるとされています。
もし過去問を公開してしまうと、たまたま過去問で見た問題が出題され、それを正解した場合、その正解は受験者の英語力によって導かれたものなのか、単に過去問の答えを記憶していたから出てきたものなのかを判別することが難しくなくなります。その結果、統計処理にも影響を与え、スコアの信憑性そのものが問われる可能性が出てきます。そうしたことを防ぐため、過去問が公開されていないのではないか、と考えられています。
2.TOEIC対策のための問題集
それでは、できるだけTOEIC® L&R テストの本番に近い問題演習を行うにはどうすればよいのでしょうか。具体的には以下の3つの選択肢が挙げられます。
2.1 TOEIC公式問題集
最も過去問に近いものとしては、IIBCが販売している公式の教材や問題集があります。公式問題集の問題は、実際のTOEIC® L&R テストと同じプロセスで作成されており、リスニングセクションの音声も実際の試験と同じスピーカーを使っているとのことです。
また、公式問題集には正答数をもとにした参考スコアの換算表も目安として記載されています。そのため、今の実力でTOEIC® L&R テストを受験したらおおよそどのくらいのスコアを獲得できそうか、あるいは目標スコアを達成するためにはあとどのくらいの正答数が必要なのか、といった見当をつけることも可能です。
2.2 市販のTOEIC予想問題集
公式問題集以外にも、TOEIC® L&R テスト予想問題集が多く出版されています。こうした市販の問題集は、点数別や分野別など、学習者のニーズによりマッチしたものを選べることがメリットです。また、公式問題集よりも解説が充実していることが多く、音声アプリや動画解説などの補助教材も豊富です。特に英語学習を始めて日が浅い人にはありがたいのではないでしょうか。
2.3 韓国で販売されている過去問問題集
最後に、どうしても過去問を入手したい!という方には、Amazonや楽天などで売られている韓国版の過去問問題集を購入するという方法をご紹介します。ただし、解説は全て韓国語で書かれていることや、日本で実施されたTOEIC® L&R テストの問題ではないため、もし購入するならそこはよく認識しておいた方がいいでしょう。
3.TOEIC問題集の効果的な使い方
それでは、スコアアップのためにはこうした問題集をどう活用すればよいでしょうか?具体的には、以下のような使い方をすると効果的です。
3.1 目標スコアと自分の実力の差を知る
問題集を使ったトレーニングで最初にやっておきたいのが、目標スコアと現時点での自分の実力の乖離を知ること。そのためには本番形式での演習が最も精度が高いと考えられます。
公式問題集にはサンプル問題と共にTOEIC L&R練習テスト(2回分)が収録されています。休日などに時間を確保し、120分間通しで練習テストに取り組んでみましょう。目標スコアに到達するまであとどのくらいなのかの目安を知ることができます。
3.2 弱点を把握し、その対策を立てる
目標スコアとの距離がわかったら、次にやるべきことは弱点の克服。
例えば、リスニングセクションでは、知らない単語があって内容が一部聞き取れなかったのか、内容は聞き取れたが紛らわしい選択肢に惑わされて正解を導き出せなかったのか、といったことを振り返りましょう。また、リーディングセクションでは、Part 5で出題される文法であやふやな分野があったのか、読解スピードが足りなくてPart 7が最後まで解けなかったのか、などといったことを自分なりに分析してみましょう。
そうやって自分の弱点が見えてくれば、あとはそれをカバーするために市販の問題集などを使って集中的にトレーニングを繰り返すことで少しずつ正答率が上がってくるでしょう。問題を解くときは、単に問題を解いて正解と照らし合わせて終わり…、ではなく、「なぜその選択肢が正解なのか」「なぜ他の選択肢は間違いなのか」を説明できるようになるまで徹底的に理解を深めることでさらに実力がつきます。
3.3 本番の時間感覚を身に付ける
本番でよくあるのがリスニングの「聴き逃し」とリーディングの「読み残し」です。これらを解消するためには、問題集を使って時間感覚を身に付けるトレーニングを繰り返すことがおすすめ。リスニングは音声を何度も聴いて本番のスピードに慣れること、リーディングは1問あたりの「時間配分」を体で覚えていくことがスコアアップのカギです。目安として、Part 5とPart 6は1問30秒以内で、Part 7は1問1分以内で解答することを心がけましょう。
なお、TOEIC® L&R テストを時間内ですべて解き終えるために必要なスピードを測る指標のひとつにWPM (Words Per Minute:1分間あたりの語数)というものがあります。一般的に、TOEIC® L&R テストのリスニングセクションで話されるスピードは160~180WPM程度と言われています。また、リーディングセクションを時間内にすべて読み終えるには150WPM程度のスピードが必要とされています。もしハイスコアを目指すのであれば、WPM向上も意識したトレーニングを行っていくとよいでしょう。
4.TOEICスコアアップのためのその他の勉強方法
問題集の他にも、TOEIC® L&R テスト対策のための教材にはさまざまなものがあります。中でもオンライン学習サービスは近年、質・量ともに充実してきています。
例えば、スタディサプリEnglishではTOEIC® L&R テスト対策に特化したプランが用意されています。アプリ上でTOEIC® L&R テスト20回分相当の演習問題を繰り返し学習できるだけでなく、関正生先生による講義動画が約580本も視聴でき、文法事項などをピンポイントで効率よく学習できます。さらに、中上級者向けにはAIを使ったアダプティブ講座と呼ばれるランク判定・問題最適化の機能もついています。
こうしたオンライン教材のよいところは、時間と場所を選ばないこと。通勤電車の中などのスキマ時間を使って毎日少しずつトレーニングするにはうってつけですね。
5.まとめ
TOEIC® L&R テストの過去問は公開されていませんが、公式問題集やその他市販の問題集、オンライン学習サービスなど、さまざまな教材を使って対策することが可能です。今回紹介した勉強方法を参考に、スコアアップのための学習を進めていきましょう。


