
TOEIC® テストには、一般の公開テストのほかに、学校や企業が主催する「団体特別受験制度(IPテスト)」があります。2020年からオンライン形式のIPテストが導入され、自宅や会議室など任意の場所で受験することが可能となりました。この記事では、その中でも受験者数が最も多いListening & ReadingのオンラインIPテストに焦点を当て、その特徴や対策法について詳しく解説します。
1.TOEIC IPテストとは?
1.1 TOEIC IPテストの概要
2025年1月現在、TOEIC® Programのすべてのテストは、オンライン形式のIPテストとして実施されています。この制度では、企業や学校などの団体が任意のテスト実施期間を設定し、その期間内であれば、受験者はインターネット接続を利用し、時間や場所を問わず受験することができます。従来よりも手軽に受験できる点が特徴です。
1.2 TOEIC公開テストとの違い
TOEIC® L&RのIPテスト(オンライン)と従来の公開テストでは、主に以下のような違いがあります。
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公開テスト
- 問題数(テスト時間)
- リスニング100問(約45分間)
- リーディング100問(75分間)
- 問題形式
- 全員が共通のテストを受験
- 結果表示
- 試験より17日後
- 問題数(テスト時間)
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IPテスト(オンライン)
- 問題数(テスト時間)
- リスニング45問(約25分間)
- リーディング45問(37分間)
- 問題形式
- CAT方式(難易度調整)
- 結果表示
- テスト終了直後
- 問題数(テスト時間)
1.3 TOEIC IPテストのメリットとデメリット
最大のメリットは、なんといってもその手軽さです。日時と場所が指定されている公開テストと違い、試験を受ける時間と場所を自分の都合に合わせて選べます。また、試験時間と問題数が公開テストの約半分であり、短時間で効率的に受験できる点も魅力です。
一方、デメリットは、オンラインのIPテストでは公式認定証が発行されないことです。正式なスコアの提出が求められる場面では利用できない可能性があります。そのため、どのテストが自分に適しているか事前に確認することが重要です。
さらに、時間と場所を自由に選べるのがメリットである反面、試験環境を整える必要があります。自宅で受験する場合、急な来客や外部の騒音が集中を妨げたり、通信環境の不安定さや機器の不良などで受験に支障をきたしたりしないよう、注意が必要です。
2.TOEIC IPテストの構成と各パートの特徴
2.1 テストの全体構成
写真描写問題や文法問題など、問題の形式自体は公開テストと同じですが、IPテスト(オンライン)では、試験時間と問題数を半分にするために、CAT(Computer Adaptive Test)という受験者の能力に合わせてリアルタイムで出題問題が変化するテストシステムが採用されています。
具体的には、リスニングとリーディングの各セクションで、最初のUnit Oneに共通の25問が出題され、その正答数に応じて、次のUnit Twoでスコア判別をより詳しく行うための20問が出題される仕組みです。
2.2 各パートの詳細と特徴
各パートの問題内容と問題数は以下の通りです。
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リスニングセクション(約25分間)
- Unit One(共通問題 25問)
- 写真描写問題(Part 1)3問
- 応答問題(Part 2) 4問
- 会話問題(Part 3) 9問
- 説明文問題(Part 4) 9問
- Unit Two(難易度調整問題 20問)
- 応答問題(Part 2) 5問
- 会話問題(Part 3) 9問
- 説明文問題(Part 4) 6問
- Unit One(共通問題 25問)
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リーディングセクション(37分間)
- Unit One(共通問題 25問)
- 短文穴埋め問題(Part 5) 5問
- 長文穴埋め問題(Part 6) 4問
- 読解問題(Part 7) 16問
- Unit Two(難易度調整問題 20問)
- 短文穴埋め問題(Part 5) 7問
- 長文穴埋め問題(Part 6) 4問
- 読解問題(Part 7) 9問
- Unit One(共通問題 25問)
2.3 難易度の傾向と対策ポイント
IPテスト(オンライン)と公開テストのスコアの意味は同じで、問題の難易度に大きな差はありません。ただし、受験者が感じる難易度には差が生じる可能性があります。
CAT方式を採用するIPテスト(オンライン)では、前半の正答数によって後半の問題の難易度が調整されます。例えば初級者が前半で不正解が多かった場合、後半の問題が比較的簡単になるため、難易度が低く感じられることがあります。
一方で、前半の正解数が多いと後半は難しい問題が続き、解きやすい問題で時間を稼ぐことが難しく、難易度が高く感じられることもあります。
また、後述の通りIPテスト(オンライン)ではリスニングで設問を先読みする余裕が少ないため、不慣れな受験者は難しさを感じる場合があります。いずれの場合も、テストの本来の難易度が変わるわけではありません。そのため、IPテスト(オンライン)の対策としては、公開テストの攻略法に頼りすぎず、地道に基礎力を向上させることが重要です。
3.TOEIC IPテストの対策法
3.1 語彙・文法をしっかり学ぶ
IPテスト(オンライン)では問題数が少ないため、1問あたりの比重が大きく、ミスがスコアに与える影響も大きくなります。そのため、受験者のレベルに応じた効果的な対策が必要です。
初・中級者は、まず中学レベルの文法を確実にマスターすることが重要です。中学までの文法ルール(時制、比較、関係詞など)を復習し、スコア別に整理された単語本で効率よく語彙を補強していきましょう。
上級者は、IPテスト(オンライン)特有の難問の波に対応できる力を養う必要があります。後半のUnit Twoでは難易度の高い問題が続き、解きやすい問題でスコアを稼ぐことが難しくなるためです。仮定法や倒置など、複雑な文法ルールをおさらいし、上級者向けのTOEIC対策書を活用して、語彙と文法の応用力を強化することが重要です。
3.2 リスニング力を向上させるための練習法
一般的なリスニングスキル向上の方法については、英語のリスニング力を上げる勉強法!コツを掴んで英語を聞き取れるようになろうをご覧ください。ここではIPテスト(オンライン)特有の対策に焦点を当てて説明します。
IPテスト(オンライン)では、公開テストと異なり、会話問題や説明文問題で設問を先読みする時間が非常に短く設定されています。そのため、公開テストで有効な「設問を先に読んでポイントを絞りながら聞く」攻略法は使えません。
IPテスト(オンライン)に備えるには、普段の練習時から設問を見ずに音声を聞き、登場人物やストーリーの流れを聞き取る練習を取り入れると効果的です。この方法に慣れておくことで、本番でも落ち着いて問題に取り組めるようになります。
3.3 リーディング力を高めるためのテクニック
CAT方式の特性により、初・中級者は後半で公開テストのように自分のレベルに合わない問題を多く解かされることは少ないと考えられます。それでも、マルチプルパッセージ問題のように文書量が多い問題が出題されるため、TOEIC形式の問題集を繰り返し解いて、基礎力をしっかりと身につけておきましょう。
一方、前半で多く正答できる上級者は後半で難易度の高い問題が続けて出題されるため、時間配分には十分注意が必要です。上級者向けの対策書を活用するほか、日頃から新聞などのまとまった英文を読む習慣をつけることで、読解力とスピードを強化しましょう。
また、同じユニット内の問題は見直すことが可能ですが、試験全体で見直しや解き直しの時間はほとんど取れないと考えておくべきです。そのため、どのレベルの受験者にも、確かな語彙力と文法力に加えて、速読力を養うことが重要です。
4.まとめ
この記事では、IPテスト(オンライン)と公開テストの違い、IPテスト(オンライン)の特徴、そしてその対策について解説しました。テスト対策に大きな差はありませんが、テスト方式によるメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、自分に最適な形式のテストを選ぶことが大切です。


