
TOEIC® L&Rテストのリスニングセクションは全100問と問題数が多く、1問ごとに時間をかけて解くことはできません。その中でPart 2は、出題傾向が明確で比較的対策を立てやすいパートです。この記事では、Part 2の代表的な出題パターンを紹介し、効率よく解答するためのコツと勉強法をお伝えします。
1. TOEIC Part 2とは?
Part 2は、相手の問いかけ(質問文や平叙文)に対して、最も適切な応答を3つの選択肢の中から選ぶ形式の問題です。問いかけや応答の選択肢は問題冊子に印刷されておらず、音声だけを聞いて正解を判断する必要があります。
問題数は25問で、1問あたり約5秒の解答時間が与えられます。
2. TOEIC Part 2の主な出題パターン
2.1 WH疑問文
WhenやWhereなどの疑問詞で始まるWH疑問文は、Part 2の中でも特に出題頻度が高く、25問中およそ10問がこのパターンに該当します。Whenなら「時間」を、Whereなら「場所」を答えるといったシンプルな応答が正解になる問題も多く、確実にスコアを稼ぎたい問題タイプです。また、WH疑問文はYesやNoで答えを返すことができないため、選択肢を絞りやすいのも特徴です。
2.2 Yes/No疑問文
IsやDo、Doesなどで始まり、YesやNoで応答できるYes/No疑問文の問題が4~8問ほど出題されます。YesまたはNoを省略する応答も多いため、難易度の幅が広い問題タイプです。正しく答えるためには、問いかけ文の冒頭の語だけでなく、動詞や目的語などのキーワードを聞き取り、何を尋ねられているのか理解する必要があります。
また、Do you know when the report is due?(レポートの締め切りがいつか知っていますか?)のように、間接疑問文の形で出題される問題もあります。
2.3 提案・依頼・許可を含む問題
疑問文の形をしていながら、質問ではなく、「提案」や「依頼」などの機能をもつ問題文が2~3問出題されます。代表的な機能は以下の通りです。
-
提案・勧誘
Why don't we order delivery for lunch?(ランチはデリバリーを頼みませんか?) -
依頼
Could you send me the updated report by this afternoon?(今日の午後までに更新版のレポートを送っていただけますか?) -
許可
Would you mind if I used your desk for a little while?(少しの間、あなたの机を使ってもかまいませんか?)
2.4 否定疑問文、付加疑問文、選択疑問文
否定疑問文は、Don't you ...やWasn't it ...のように、冒頭が否定形になっている質問文です。「~ではないのですか?」と、驚きを表したり、相手に同意や確認を求めたりするための問いかけです。
付加疑問文は、The budget meeting is scheduled for tomorrow, isn't it?(予算会議は明日の予定ですよね?)のように、文末に疑問を付加する質問文です。「~ですよね?」と、相手に情報を確認する役割を持ちます。
選択疑問文は、A or B?の形で相手に選択を求める質問文です。AとBの部分が名詞のものもあれば、
Are you satisfied with the current design, or would you like to make some changes?(現在のデザインに満足していますか、それとも変更を加えたいですか?)
のように、2つの主語+動詞を含む長めの文になることもあります。
これらの質問文は合計で3~4問出題されます。
2.5 平叙文
質問の形をしていない平叙文が問いかけとして使われる問題が、3問ほど出題されます。疑問文と異なり問いかけの意図が分かりにくいうえに、相手からどのような反応が返ってくるのか予測しにくいため、難易度の高いタイプの問題です。
3. TOEIC Part 2を攻略するためのポイントやコツ
3.1 文頭を聞き逃さない
問いかけ文の文頭には、質問の意味を理解するために重要な情報が含まれています。文頭部分を聞き逃さないように、しっかりと集中して聞き取りましょう。
特にWH疑問文では、最初の疑問詞を聞き逃すと、何を尋ねられているのか分からなくなり、誤答につながることがよくあります。
また、その他の質問パターンでも、冒頭の1語だけでなく、主語や動詞まで正確に聞き取ることで、おおよその質問内容を推測しやすくなります。
3.2間接的な応答を想定する
近年増えてきたのが、質問に対して直接的に答えず、間接的に答える応答です。どのような場面でどんな意図がこめられた応答なのか、想像することが求められます。直接的な応答だけを期待せず、少しひねった返答も想定しながら選択肢を聞きましょう。
たとえば、
When is the new employee training session scheduled?(新入社員研修はいつ予定されていますか?)
この質問に対して、直接的に答えるなら、
Not until next week. (来週にならないと行われませんよ)
のように、「時」を答えるのが一般的です。
一方、間接的な応答では、
Susan is coordinating it.(スーザンが調整しています)
と答えても正解になります。「When」で時期を尋ねられているのに、「人」に言及するのは不自然に思えるかもしれません。
しかし、質問の背景を考えると、答える側の人は研修の日程を把握しておらず、「調整役のスーザンに聞けばわかる」という意図を含んでいるため、実際の会話では自然なやりとりになります。
問いかけの内容をしっかり覚えておき、選択肢が流れるたびに組み合わせることで、より自然な応答を選べるようになります。
3.3 音のひっかけに注意する
Part 2には、問いかけ文に含まれるキーワード(聞き取りやすい単語)と同じ、またはよく似た音を持つ単語を、不正解の選択肢に含め、音につられて誤答に導こうとする問題があります。質問に含まれる単語が選択肢で使われているからといって必ずしも不正解というわけではありませんが、意味を取らずに音だけで解答すると、そのようなワナにはまりやすくなります。注意しましょう。
ひっかけに使われる音が似た単語は、たとえば次のようなペアです。
addition(追加)とedition(版)
contact(接触、窓口)とcontract(契約)
head(頭、率いる)とahead(前もって)
4. TOEIC Part 2の効果的な勉強法
4.1 耳を鍛えるリピート練習
Part 2では、問題と問題の間がわずか5秒しかありません。音声を聞いた瞬間に意味を理解し、すぐに解答する力が求められます。そのため、リスニング力を鍛えることが不可欠です。
耳を鍛えるためには、スクリプト(文字)を見ずに、音声を真似してリピートする練習を何度も行いましょう。特に、単語がつながる部分の音を意識し、正確に再現できているか自分の声を録音して確認するのも効果的です。
リスニングに特化した練習法については、「英語のリスニング力を上げる勉強法!コツを掴んで英語を聞き取れるようになろう」や「シャドーイングとは?初心者から上級者まで効果が出る具体的な方法を解説!
」を参考にしてください。
4.2 意味を調べて語彙力強化
問題集のスクリプトを確認し、知らない単語やフレーズがあれば必ず意味を調べましょう。Part 2の質問や選択肢は文字数が少ないため、文脈で意味を判断することができません。1語を逃すことによるダメージが大きくなりがちです。
また、発音もしっかり確認し、次に同じ単語が出てきたときに確実に意味が分かるようにしておきましょう。
4.3 正解の応答文を抜き出し音読
Part 2のやりとりに慣れるよう、「正解文を取り出した練習」も効果的です。
①まず、問いかけ文と正解の選択肢だけを抜き出し、何度も音読します。
②慣れてきたら、問いかけ文を聞いて音声を止め、文字を見ずに正解の応答を言えるようにします。
③さらに、問いかけ文の和訳だけを見て、問いかけ文と正解選択肢を英語で再現する練習をします。
繰り返し練習することで、間接的な応答やひねりのある返答のパターンにも自然と慣れていきます。
5. まとめ
Part 2はわずか9分ほどで終わる短いパートですが、出題パターンを理解し、しっかりと準備をすることで、スムーズに解答できるようになります。また、隙間時間を活用した練習にも最適です。効率的な学習を積み重ねて、確実に得点源にしていきましょう!



